
ピルがPMSに効かないと感じたら!情緒不安定が治らない原因と対処法を解説
2025-07-18
PMS(月経前症候群)は、生理前に心身の不調があらわれる症状で、生活の質や感情の安定に大きな影響を与えます。
ホルモンバランスを整える働きのあるピルは、PMSの治療にも活用されており、多くの人に症状の軽減が期待されています。一方で、服用していても効果を実感できないケースもあります。
ピルがPMSにどう作用するのか、なぜ効果を感じにくいときがあるのか、体質やピルの種類との関係、見直すべきポイント、そして併用できる治療法や生活改善の工夫まで解説します。
効果を感じにくい理由を正しく理解し、適切な対処法を知ることが、PMSによるつらい不調の軽減につながります。自分に合った方法を見つけ、前向きにケアを始めていきましょう。
PMS(月経前の不調)にピルが効く理由
生理前の心身の不調であるPMS(月経前症候群)には、ピルによる治療が有効です。
ピルは、体内の女性ホルモンを一定に保つことで、PMSの原因となるホルモンバランスの波を抑え、症状を緩和する効果が期待できます。
ピルがPMSに効く仕組みや効果が現れるまでの期間、使用されるピルの種類について詳しく解説します。
そもそもPMSとは?生理前にあらわれる身体的・精神的不調
PMS(月経前症候群)とは、生理前に起こる、イライラ、不安感、頭痛、腹痛、むくみ、乳房の張りなどの心身の不調のことで、排卵後から月経開始直前の期間にあらわれやすいです。
PMSでよくみられる主な症状
- 情緒不安定・イライラ・不安感
- 頭痛・下腹部痛・乳房の張り
- むくみ・だるさ・集中力の低下
PMSは、排卵後に分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)の増加と急減によって、脳内の神経伝達物質(セロトニンなど)が不安定になることが主な原因と考えられています。
症状の強さや種類には個人差が大きく、精神的な影響が日常生活に及ぶ場合は、PMDD(重度の月経前不快気分障害)など他の可能性も視野に入れる必要があります。
ピルによるPMS改善の仕組み
ピルは、2種類の女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)を含み、服用することで、排卵を抑え、ホルモンバランスを安定させる効果があります。
ピルのPMS緩和の効果
- 排卵の抑制:ピルに含まれるホルモンが排卵を止めることで、PMSの引き金となるホルモンの急変動を防ぎます。
- ホルモン変動の平坦化:エストロゲンとプロゲスチンが一定量補われることで、月経周期に伴う波のような変動が少なくなります。
- 自律神経の安定:ホルモン変動が穏やかになることで、精神的なバランスが整いやすくなります。
- 子宮内膜への影響:子宮内膜が厚くなる変化を抑えるので、経血量が減少し、生理痛の改善も期待できます。
ピルはホルモンの乱高下を抑えることで、PMSの症状に対して根本的な改善を目指す治療法といえます。
PMSの症状が日常に支障をきたすレベルであると医師が診断した場合は、ピルの処方が保険適用されるケースもあります。
ピルの費用相場と保険適用の可否についてはこちらの記事でわかりやすく解説しています。
ピルの服用開始から効果を感じるまでの目安期間
PMSの改善効果を実感するまでには、ある程度の時間がかかることもあります。
一般的には、服用開始から1〜3ヶ月ほどで、徐々に心身の変化を感じられるようになるケースが多いです。
生理が1〜2回訪れるまでの周期を通じて効果が安定するため、短期での判断ではなく、継続的な服用が重要です。
逆に、数ヶ月たっても症状が改善されない場合は、服用しているピルの種類が合っていない可能性もあるため、医師に相談のうえで見直しを検討しましょう。
PMSの治療に使われるピルの種類と特徴
ピルにはさまざまな種類があり、PMSの症状や体質に合わせて処方される内容が変わります。
種類 | 特徴と向いている人 |
---|---|
低用量ピル![]() |
ホルモンバランスを安定させやすく、PMS症状全般に効果が期待される初めてのピルでPMSを改善したい人 |
超低用量ピル(フリウェルULDなど)![]() |
ホルモン量が少なめで、副作用リスクを抑えたい人に適している吐き気や頭痛が出やすい体質の人 |
ヤーズなどのPMS対応型ピル![]() |
精神的な不調(情緒不安定・イライラ・不安)にも配慮された設計精神面のPMS症状が強い人 |
体質やPMSのタイプによって、合うピルの種類は異なります。「ピルを飲んでも効かない」と感じたときは、種類や飲み方を見直すことが症状改善の第一歩になります。
ピルの種類と効果の違いはこちらの記事で解説しています。
自分の体質や改善したい症状に最適な種類をお探しの方はチェックしてみてください。
ピルがPMSに効かない・情緒不安定が治らない4つの原因

ピルを飲んでいるのにPMSの症状が改善しない、情緒不安定が続く場合は、原因を正しく知ることが重要です。
服用開始から時間が経っていなかったり、体質や生活習慣との相性、そもそもPMSではない可能性もあります。
改善が見られない主な4つの原因とその対策を確認しましょう。
服用初期に起こる副反応や一時的な悪化
ピルを飲み始めた直後は、ホルモン環境が大きく変化するため、一時的に症状が悪化したように感じることがあります
副反応は、人工的なホルモンに身体が慣れるまで2~3ヶ月程度続くことがあります。
副反応として見られる症状
- 気分の落ち込み・情緒不安定
- 頭痛・吐き気・だるさ
副反応は時間の経過とともに落ち着く傾向があるため、まずは2~3ヶ月継続し、医師の経過観察を受けながら様子を見ることが大切です。
生活習慣やストレスによるPMSの悪化
生活習慣の乱れやストレスが強すぎると、ピルの効果が妨げられ、かえってPMSの症状を悪化させる可能性があります。
ピルの効果を妨げる生活習慣
- 睡眠不足や運動不足
- カフェインやアルコールの過剰摂取
- 偏った食事
- 仕事や人間関係による慢性的なストレス
特にストレスは、自律神経やセロトニンの分泌に影響を与え、情緒不安定や不安感を強める要因になります。
ピルを服用しても効果を感じにくい場合は、まず生活リズムや食事の見直し、ストレスマネジメントを試みることが有効です。
PMSの症状とピルの種類があっていない

ピルにはさまざまな種類があり、ホルモンの構成によって効果や副作用の出方が異なります。
ピルの世代 | 特徴 | 精神面への影響 |
---|---|---|
第2世代 | 副作用がやや出やすい | イライラや情緒不安定が強まる場合がある |
第3世代 | 副作用が少なく、体への負担が軽め | 情緒面の安定が期待できる |
第4世代 | 精神的・身体的なPMS症状に配慮した設計 | 気分の落ち着きやむくみの改善に有効 |
同じ種類を飲み続けても改善しない場合は、医師と相談し、別のピルへ変更することで症状が緩和される可能性があります。
PMS以外の病気である可能性
ピルを飲んでも改善が見られない場合、そもそもPMSではなく、別の疾患による症状の可能性もあります。
PMSと似た症状をもつ代表的な疾患
- PMDD(月経前不快気分障害)
- 子宮内膜症
- 子宮筋腫
- ホルモン性うつ
例えば、PMDDでは怒りや自己否定感、極度の抑うつといった重度の精神症状があらわれ、通常のピルでは改善しにくいことがあります。
また、下腹部痛や経血量の多さが気になる場合は、婦人科系疾患の可能性もあるため、医師による検査が必要です。
PMSにピルが効かないときの対処法と服用の見直し
ピルを服用してもPMSの症状が改善しないと感じても、効果が出るまでは時間がかかることもあるので、焦らずに自分の身体にあった正しい対処法を見極めることが大切です。
症状が改善しないときに試したい対処法と、服用・治療の見直しポイントを整理してご紹介します。
まずは2〜3ヶ月様子を見る
ピルの効果を感じるまでには、ある程度の時間が必要です。
服用開始直後は、体内のホルモンバランスが調整中のため、一時的に症状が悪化したり、効果がわかりにくいことがあります。
特にPMSのように周期性のある不調は、2〜3回の月経周期を経て安定してくるケースも多いため、まずは2〜3ヶ月を目安に様子を見ながら継続することが推奨されます。
ただし、日常生活に支障があるほど強い症状が続く場合は、自己判断せず早めに医師へ相談しましょう。
ピルだけに頼らず生活習慣を見直す

ホルモンバランスの影響を受けやすいPMSだからこそ、生活習慣を整えることが大切です。
ピルの服用とあわせて見直したい生活習慣
- 7時間以上の規則正しい睡眠
- バランスの取れた食事と水分補給
- 軽い有酸素運動やストレッチの習慣
- スマホやカフェインの過剰摂取を控える
- 深呼吸・入浴・音楽などでリラックス時間を確保
生活リズムを整え、リラックスできる時間を確保できると、自律神経やセロトニンの分泌が安定し、PMSの波を和らげる手助けになります。
漢方・抗不安薬などのピル以外の治療法
ピルが効きづらい、または副作用が強いと感じる人には、他の治療法を組み合わせる選択肢もあります。
治療法 | 目的・作用 | 適しているケース |
---|---|---|
漢方薬(加味逍遙散・抑肝散など) | 体質や不定愁訴にアプローチ。ホルモン調整や自律神経の安定を図る | 冷え・疲労感がある、体質改善もしたい人 |
抗不安薬・抗うつ薬 | 精神症状に直接作用。PMDDや強い情緒不安定に対応 | 気分の落ち込み・怒り・不眠などが強い人 |
ビタミン・ミネラル補給 | 不足により起こる神経過敏や疲労をサポート | 偏食・栄養バランスが気になる人 |
ピルと併用することでPMS改善の効果が高まる治療法もあります。
体質や症状の内容に応じて、医師と相談のうえで取り入れていきましょう。
ピルの変更や他の治療方法を医師へ相談
「飲んでいるのに効かない」と感じたときは、自己判断せず医師への相談を検討しましょう。
医師に相談したほうが良い症状
- 3ヶ月以上続けてもPMS症状が軽減しない
- 副作用(頭痛・吐き気・不正出血など)がつらい
- 気分の波や落ち込みが悪化している
- 日常生活に支障が出ている
PMS改善の目的で処方される低用量ピルには第2〜第4世代まで種類があり、ホルモン配合の違いによって体への合い方もさまざまです。
医師に相談し、症状の記録をもとに適切な治療法を再検討することで、改善への近道になります。
ピルによるPMS改善に関するよくある質問
-
PMS症状の緩和のためにピルを飲むかどうかの判断基準は?
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PMSの症状が毎月繰り返し起こる・日常生活に支障が出るレベルである場合は、ピルの服用を検討する価値があります。
排卵後から生理前にかけて情緒不安定や体調不良が強く出る方は、ホルモンの変動による影響が疑われるため、ピルによってホルモンバランスを整えることで改善が期待できます。
ただし、副作用や体質との相性もあるため、まずは婦人科で相談してから服用を始めるのが安心です。
-
ピルを飲むと鬱っぽくなるのはなぜですか?
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ピルに含まれる女性ホルモンの影響で、脳内の神経伝達物質(セロトニンなど)のバランスに変化が起こることが原因とされています。
特に服用初期はホルモン環境が急に変化するため、一時的に気分の落ち込みや不安感を感じる人もいます。
多くは2~3ヶ月ほどで体が慣れて症状が落ち着きますが、強い精神的症状が続く場合はピルの種類を変えるか、服用自体を見直す必要があります。
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ピルを飲まない方がいい人は?
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以下のいずれかに当てはまる場合は、ピルの服用を避ける、または医師と慎重に相談する必要があります。
・35歳以上で1日15本以上の喫煙習慣がある
・血栓症・心疾患・高血圧などの持病がある
・片頭痛(特に前兆あり)の既往がある
・妊娠中または授乳中
また、過去にピルで強い副作用が出た経験がある人も注意が必要です。服用を始める前に、必ず医師に自分の体調や既往歴を伝えましょう。
つらいPMSはピルの見直しやオンライン診療の相談を
ピルはPMSの改善に有効な手段のひとつですが、服用初期の副反応や、体質・生活習慣との関係、ピルの種類の相性によっては、効果を実感できないケースもあります。
PMSにピルが効かないと思ったときは、今のピルが自分に合っているかを見直すことが大切です。
ただし、「ピルを変えるべき?」「別の治療法を試すべき?」という判断は、自分ひとりでは難しいので、医師との相談を通じて、あなたに合った方法を見つけましょう。
最近では、スマホから相談・処方を受けられるオンライン診療も増えており、通院の手間なく自宅で自分に合うピルを見つけることができます。
生活に支障が出るほどのPMSに悩んでいるなら、早めにオンライン診療で相談してみてください。